悲しいお別れ。

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しばらくこのブログでB&Bビロードレの話題が出ていませんでしたね。

久しぶりのビロードレの話題が悲しいものになってしまって、残念です。

 

先日、ビロードレファミリーのサンドロ氏(マッテオ君のおじいちゃん。宿オーナーのお父様で、宿で手料理を作っていたマンマの旦那様)が、亡くなりました。

癌でした。

 

実を言うと、もう一年ほど苦しい闘病生活を続けていて、家族の間ではお別れが迫っていることは認識していました。

ただ、それが少しでも遠い日になるよう、みなとても頑張っていた。

 

今年に入ってからビロードレに来てくださったお客様には、マンマの美味しい手料理を出すことができず、大変ご迷惑をおかけしました。

宿で夕飯を出すことができなかった背景には、家族みんなの癌との闘い、そして何より、自宅で一対一でご主人を看病するマンマの姿がありました。

(マンマはビロードレには住んでいません。

看病中も宿のお手伝いのために毎日顔は出していましたが、夕食時には自宅に帰らなきゃいかなかったんです)

そのため、ご夕食を希望されるお客様には、周辺レストランへの送迎という形で対応させていただいてきました。

 

 

サンドロは、なんというか、今の時代の男性たちにはない、確固たる強さを持った人でした。

大きな岩のような、鉄のような、威厳と厳しさ。

そして、温かさ。懐の深さ。

 

 

忘れられないのは、私がビロードレに居候していた時のこと。

当時の私はイタリアでの暮らしに疲れ果てて、傷ついていて、フィレンツェから逃げ出してきたのでした。

 

事情を聞いたサンドロは、「日本の家族が心配しているだろう。電話をしてあげなさい。」と自分の携帯電話を差し出してくれました。

国際料金になっちゃうからメールにする、と断る私に無理やり携帯を握らせ、「国際料金だと?気にするな!今すぐ、電話しなさい。俺の携帯はどんどん使っていいから、料金の心配なんぞしてないで、家族を安心させてあげるんだ!!」と。

 

嬉しくて、有難くて、電話しながら泣き崩れました。

「私は大丈夫だよ、イタリアにも家族がいるから。こんなに素敵な友達がいる。だから大丈夫だよ」と、何度も母に言いました。

あの時ビロードレファミリーがいてくれなかったら、どうなってただろう?

どんなに感謝をしても、し足りないです。

 

ありがとう。

 

私にとっても、大きな大きなお父さんのような存在でした。

 

彼と出会う少し前に父を亡くしている私は、どこかの部分で2人を重ねて見ていたかもしれません。

父もやっぱり今の時代には合わない鉄のような人で、今だからこそ尊敬しているけど、決して家庭向きとは言えない人だったので、私たち親子の間には拭いようのない確執がありました。

そのことで、とても後悔している、今でも。

だからこそサンドロに会った時、「あ、イタリアにも父のような鋼の精神を持った人がいる」と思って余計に嬉しかったのかも。

私の、勝手な気持ちだけれど。

 

 

一昨日、お葬式に行ってきました。

マンマは私を自分の隣、親族席に並ばせてくれました。

その温かさに、またしても言葉が出ない。

いざ棺に向かっても、感謝以外の言葉は出ません。

 

お父さん、天国でサンドロによろしくね。

私はずいぶん、お世話になったんだよ。

きっと話が合うだろうから、2人でゆっくり話してみてよ。

 

サンドロ、ありがとう。

どうか、安らかに。